土壌汚染地や元池・沼地であった土地の鑑定評価はどうするのか
2017/03/05
私は不動産鑑定士であるので、評価の基本的事項についいて述べます。鑑定評価を実施するに当たっては、依頼受付の段階で依頼者から依頼の目的を聞きます。売買であれば希望価格を聞くが、明らかに鑑定前見込み価格から大幅に乖離している場合は
依頼を断ります。正常価格は一定幅の中で形成されるので許容範囲での上限、下限の価格での評価は不動産鑑定士の判断の中で実行します。事前に鑑定評価地が元印刷工場地であって、土壌汚染の埋蔵があることを徴取できても、現地調査においては現況からは土壌汚染物が埋蔵されているかは把握できないので、必ず元の利用状況を国会図書館に行って過去の利用が把握できる住宅地図を閲覧して資料から確認します。具体的に地下にどの種の汚染物質があるのか。それを除去する費用はどの程度なのかは不動産鑑定士は出来ません。不動産鑑定士はその土地を鑑定評価する上では先ず元の利用状況から当該地には地下汚染物がある可能性が高いので、必ず汚染物調査をすることと明記します。当該地の最有効使用が戸建て住宅向き開発地なのか、マンション向き開発地、工場・倉庫、流通業務地なのかによって汚染物の除去費用の程度は異なってきます。
次に元の利用が池、沼であって現状はゴミ等が捨てられた上に盛土された土地になっている。この時も不動産鑑定士は必ず元の状況を古地図(住宅地図)及び聞き込みで把握します。現状での表面的での確認だけでは本来の不動産鑑定士の当該地の確認をした事にはなりません。当然、地盤軟弱ですから地盤強度が強い土地に対して減価されるでしょうが、その土地をどのように開発するかによって、地盤改良費は異なってくる。不動産鑑定士はその地盤改良費調査が第三者の専門家によってなされ、客観的にその費用の妥当性が判定できるのであれば採用することも出来るが、ややもするとその地盤改良費に上乗せされる可能性がありそれを精査することが難しいので、評価上は「元の利用が池、沼であったので地盤は軟弱であるので取引においては専門家による地盤改良費等の調査をする必要がある」と評価条件で注意を喚起します。
ここで申し上げたいのは不動産鑑定士として確定、確認すべきことをして、他の専門家の調査がない場合は評価では鑑定評価額には土壌汚物除却費用ないしは地番改良費は考慮外としての鑑定評価であることを条件付けしています。
栄光神奈川鑑定
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