借地権の時価評価, 相続税路線価方式と不動産鑑定評価を併用
2017/06/22
借地権の時価評価
正規の不動産の時価を追及し評価している立場からして相続不動産の評価の基準である財産評価基本通達の相続税路線価方式は私なりにわかっていたが、ここまでおおざっぱな評価方式だったのか改めて疑問に思うので敢えてここで問題点、矛盾点を提示し検討してみます。
相続税路線価方式はあくまで相続税申告時の評価手法ですから節税目的の観点からみてこの手法を適用した方がいい場合もあるが、この手法を適用し、実勢時価との価格乖離が生じた場合は不動産鑑定士による不動産鑑定評価を適用することをお勧めします。
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栄光神奈川鑑定 不動産鑑定士 不動産カウンセラー 田邉勝也
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1、相続税法上の借地権
相続税法では、借地権について定義する条文はないものの、財産評価基本通達9(5)において、借地権とされるものは「借地借家法等に規定する建物の所有を目的とする地上権または賃借権」とされている。
(借地権割合による評価方法)
貸宅地評価額+借地評価額=自用地評価額
自用地評価額×借地権割合=借地権評価額
問題点
この相続税路線価方式による評価の際に使用する借地権割合は路線ごとに一定の割合となっているため、個々の借地契約の内容が反映されていない。
その為、この評価方式では堅固建物の所有を目的とする借地権と非堅固建物の所有を目的とする借地権の割合に差はついてなく同じ割合になっている。
設例
相続借地が存する地域は中高層ビルが建ち並ぶ商業地域であるが、相続借地の契約は非堅固(木造)建物所有を目的とする借地契約である。
この場合の借地権割合法のによる評価方法で試算してみる。
① 借地権の基となる更地価格
土地の最有効使用は中高店舗・事務所地の更地価格
② 借地権の基となる土地価格
当該契約目的は非堅固建物(木造2階建て)所有なの で最有効使用は低層店舗・事務所地の土地価格
借地権の基となる土地価格は上記のとおり、当該借地は契約目的から更地に中高層店舗・事務所建物の建築は出来ない低層店舗・事務所地なので下記のとおり、更地価格に契約減価をして求めた土地価格を借地権の基となる土地価格とする。
先ず①の更地価格を査定する。
次に当該地は契約で①の利用は出来ないので、①で求めた更地価格に対して契約減価(更地価格の10%程度)をして②の借地権の基となる土地価格を査定する。
更に借地権割合は地域的には堅固建物が多いので本来は堅固建物所有を目的とする借地権割合は70%になるが、当該設例地の借地契約は非堅固建物所有を目的とする借地権割合が60%になる。
2、当該地の借地権を鑑定評価する場合の借地権価格
①の更地価格から契約減価した②の借地権の基となる土地価格を査定する
借地権割合は非堅固建物所有目的の借地権割合の60%を採用して借地権価額を査定する
3、相続税路線価方式で求めた借地権の評価
①の土地価格を相続税路線価より求める。
その地域の借地権割合を相続税路線価図より確定し、土地価格に乗じて借地権価格を査定する
よって、相続税路線価方式で求めた借地権価格は借地権価格の基となる土地価格は不動産鑑定評価のように契約減価はせず、非堅固建物の借地権割合を採用してなく、更に実務的には更新料の授受、借地上に存する建物の老朽化に伴っての建て替え等の個別性が反映されていないので相対的に高い借地権価格になってしまう。
実務的対応
相続に限らず借地権価格評価は安易に相続税路線価での借地権割合から借地権価格を査定しては当該地の個別性が反映されていないので本来の時価と乖離した価格になってしまう危険性がある。
必ず不動産鑑定士に相談して個々の借地契約の経緯及び実情を苦慮した的確な借地権価格を求めることが重要であります。
借地権・底地、相続土地の時価評価に精通した不動産鑑定士 、不動産カウンセラー 田邉勝也
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