従来の広大地評価 問題多く平成29年末で廃止 平成30年の相続案件からは新たな評価手法で実施 やらなければ損害賠償の対象になる。
2017/09/07
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従来の広大地評価は平成29年末日で廃止され
平成30年1月からは新たな評価手法を適用することになった。
不動産鑑定士が解明します。
相続税申告での相続土地が大規模な土地は税務評価での従来の「広大地評価」が適用できるかどうかによって大幅な相続土地の評価減が出来、結果的には相続税額にも大きく影響していた。
1、広大地評価手法の廃止の経緯
従来の広大地評価の判定要因が不動産鑑定士でも疑問があり、判断しずらくあいまいで税務当局とのトラブルが多発していた。
その為、相続担当税理士は評価のプロでないので、税務署からの調査逃れの為に極端な場合は、その相続土地が広大地判定で広大地評価が出来るのに敢えて適用しないで結果的には高額な評価をすることになり、相続人に負担すべきでなかった高額な相続税を支払わせることになってしまうケースが多々ありました。
この現象は担当税理士のみに責任を負わせることは出来ません。曖昧な判定要因をだしている国税当局担当官も評価のプロでないのでおかしい思っても決まりだから押し通して最後は裁判にまでなったこともあった。
要は広大地判定要件(規模が大きい、マンション適地は除外され、戸建て分譲開発素地、開発に伴う道路負担を要する土地)があいまいでかつ相続土地の個別的要因(不整形地、接道不足地)が反映されてない手法で求められた価額は実勢の土地価額に比べ大幅な減額になり広大地所有の富裕層の相続の節税での優遇措置として利用されていると社会問題になり平成29年末日で従来の広大地評価は廃止されることになった。
2、従来の「広大地評価」と新たに採用される
「地積規模が大きな宅地の評価」との比較
適用要件 従来の広大地評価 地積規模が大きな宅地の評価
地積 三大都市圏:500㎡以上 三大都市圏:500㎡以上
その他 1000㎡以上 その他 1000㎡以上
地域区分 中小工場地区でも住宅開発 普通住宅地区、普通商業併用
が可能であれば認められた 住宅地区のみ
容積率 原則300%以上の土地は 400%以上の土地は適用され
適用されない ない。東京23区は300%以上
は適用されない
標準地との 標準的宅地に比べ著しく 標準宅地との関連性は一切ない
関係 広大であること
マンション マンション適地と判断され マンション適地か否かの判断は
適地か否か ると適用できない 必要ない
潰れちの負担 あり ない
3、新評価手法の「地積規模が大きな宅地の評価」の適用要件と改正ポイント
(改正ポイント)
・広大地判定要因があいまいで判定が難しいこと、
・相続土地の個別的要因が(形状、道路接道)反映されて
いない
との問題点がある中で従来は不動産鑑定士の「広大地判定書」が出され、評価土地が広大地の3要因をクリアーしていれば、評価土地の面積を算式に参入すれば自動的に広大地減価率が求められるようになっていた。
個々の土地の個別事情(道路接道、形状等)によっては戸建て住宅の開発が出来ない場合もある。それと従来の方法では地域の標準的画地規模の土地に対して大規模地でかつ用途的にマンション用地は広大地減価から除外されていた。
大規模地は小規模地との規模が大きいことによる市場性の減価が不動産市場ではあるのに現行法では反映されていなかったが、新評価手法ではマンション適地、幹線道路沿いで開発が可能な土地(開発道路負担のない土地)でも下記の適用要件を満たせば改正評価手法の適用は受けられるようになり適用要件の判断が明確になった。
(適用要件)
・適用地区 :普通住宅地区、普通商業・併用住宅地区のみ
・適用地積 :三大都市圏は500㎡以上 三大都市圏以外は10 00㎡以上
・容積率 :容積率400%未満(東京23区は300%未満)
(適用外)
原則として、住宅開発が出来ない市街化調整区域内の大規模地
工業専用地域内の大規模地
4、従来の広大地評価方法の計算式
広大地 評価額=地積×相続税路線価×広大地補正率
注1 注2
注1 従来の広大地評価で採用する相続税路線価は奥行補正等を考慮しない正面
路線価
注2 広大地補正率={0.6-0.05×広大地の地積}÷1000㎡例
1000㎡・・{0.6ー0.05×1000㎡}÷1000㎡=0.55
3000㎡・・{0.6-0.05×3000㎡}÷3000㎡=0.5
従来の広大地評価方法の「広大地補正率」は地積が同じであれば、どんな形の土地であっても評価額は同じであり、土地の形状(奥行の深い土地、不整形地)等が考慮されていないとの問題点があった。
5、平成30年1月から実施される新評価手法の計算式
地積規模が大きな宅地の評価額
=相続税路線価×各種補正率×規模格差補正率×地積
注1B 注2C
注1B・・各種補正率=奥行補正率 側方、二方、三方 四方路 影響加算率
不整形地等の減額する為の補正率 ・・・B
注2c・・規模格差補正率=土地の大きさを考慮して減額する為の補正率
・・・c
各種補正率を反映した規模格差補正率
={(地積×奥行価格補正率+規模格差補正率)÷地積}×0.8
B C
上記Bの各種補正率及びCの規模格差補正率の数値
三大都市圏に存する宅地
地積 地区別(普通商業・併用住宅地、普通住宅地のB及びC
B C
500㎡以上3000㎡ 0.95 25
1000㎡以上3000㎡ 0,90 75
3000㎡以上5000㎡ 0.85 225
5000㎡以上 0,80 475
例
三大都市圏での下記地積の各種補正率B及び規模格差補正率Cを反映した規模格差補正率
1000㎡の場合
{(1000㎡×0.90+75)÷1000㎡}×0.8=0.78
3000㎡の場合
{(3000㎡×0.85+225)÷3000㎡}×0.8=0.74
三大都市圏の従来の広大地補正率と新評価手法の各種補正率を反映した規模格差補正率との対比
地積 従来の広大地補正率 改正後規模格差補正率
500㎡ 0.575 0.80
1000㎡ 0.55 0.78
2000㎡ 0.50 0.75
3000㎡ 0.45 0.74
4000㎡ 0.40 0.72
5000㎡~ 0.35 0.71
(6)設例を使っての評価額の差がどの程度あるかを計算してみる
前提条件・・・三大都市圏に存する地積2000㎡の土地
相続税路線価 ・・・100,000円/㎡
① 従来の広大地評価手法を適用した場合の評価額
100,000円/㎡か×(0.6-0.05×2000㎡/1000㎡)
×2000㎡ ≒100,000,000円
② 地積規模の大きな宅地の新評価手法を適用した場合の評価額
100,000円/㎡×0.90×0,75×2000㎡
注1 注2 =135,0000,000円
注1 各種補正率 : 形状
注2 規模格差補正率 地積2000㎡の補正率を上記資料より25%を採用
100-0.25=0.75
結果的には、同じ土地であれば、新評価手法で評価した土地価額は従来の広大地評価手法で評価した土地価額より
35,000,000円高くなっているように相対的には新評価手法で求めた価格は高くなる傾向にある。
先に言いましたように新評価手法も不動産鑑定評価手法の考え方を取り入れて従来の広大地評価の曖昧かつ非現実的な評価の矛盾は改善されている。
ただし、新評価手法も簡便的で、おおざっぱな評価方式なので、相続土地の個別的要因、最有効使用の判定によっては、開発及び建築が出来ない土地もある。
よって、厳密には不動産鑑定士による不動産鑑定評価の方が低くなる場合があるので必ず不動産鑑定士に相談下さい。
真の時価評価をしない限り正しい相続は出来ません。
ぜひ下記不動産鑑定士に相談して下さい。
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相続不動産、貸地・借地権の時価評価 コンサルの専門家
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