借地権価格の求め方 川崎市の借地権に精通した不動産鑑定士
2017/05/15
借地権及び借地権価格の求め方
借地権専門の不動産鑑定士に相談して下さい
川崎市川崎区渡田向町20-3
栄光神奈川鑑定 不動産鑑定士 田邉 勝也
TEL 044-589-5436
090-9564-6121
k-tanabe@kme.biglobe..ne.jp
横浜市、川崎市は戦後の廃墟から都市化する過程で、土地の賃貸借が多くなり借地人保護、借地人の地域の発展への寄与等から借地権が強くなり、その結果借地権価格が発生するようになった。
ここでは借地権の基礎的なことを学びましょう。
1、不動産鑑定評価基準での「借地権とは」
借地借家法で言う「建物の所有を目的とする地上権または土地の賃借権である借地権」(平成4年8月1日施行前の借地法を含む)と定義している。
2、新借地借家法の普通借地権と改正前の既存借地権
平成4年8月に改正された借地借家法では、借地期間満了後は更新されない借地権(借地期間満了と共に借地権は消滅し、土地が地主に返還される定期借地権)が創設された。
改正前の借地権には、ほとんど平成4年時の改正部分は適用されないとされている。
よって、新法施行後は、下記のようなタイプの借地権が併存することになった。
(1)普通借地権
① 既存の普通借地権
新法施行前に制定された借地権で旧法のほとんどの規定適用されるもの
② 新設の普通借地権
新法施行後に制定された借地権で、進歩の規定が適用されるもの
(2)定期借地権等
① 定期借地権
長期型、借地期間50年以上
② 建物譲渡特約付借地権
建物買取型、借地期間30年以上
③ 事業用借地権
中・短期型、借地期間30年以上50年未満、10年以上30年未満
3、借地権とはどんな権利なのか。
借地権とは
建物所有を目的とする利用権、 土地の賃貸借契約を締結していること 固定資産税・都市計画税以上の地代を支払っていること
借りていればすべてが借地権ではない。借りる目的、有償か無償かによって発生する権利が異なる。借地権には賃借権、地上権、永小作権、地役権、使用借権などがあり、一般的には借地権と言えば「賃借権」である
月極駐車場、野積みの資材置き場、ゴルフ場のような建物なしで賃借している場合や他人の土地を無償使用で建物を建てている場合は借地権は発生しません。
4、なぜ、借地権価格が発生するのでしょうか
土地の賃貸借は、どちらかと言えば地主の好意で貸していた経緯があり、安い地代で賃貸借が存続していたのが都市化が進む中で借地人の「生存権」を保護することから借地権が強くなり、下記の借地人に帰属する経済的利益のうちの一部の借り得部分に着目する需要者の存在を背景として取引の対象となる部分の利益と定義付けられています。
過去の地代の推移をみますと、地代は土地価格には大きくは連動しているが、完全には連動してなく賃貸借当事者の合意の範囲で実際の支払い地代は制約され、経済地代と実際支払地代との差額すなわち「借り得部分」が借地権価格発生の根源になっている。
要は、実際支払い地代が経済地代に比べ安いので、借地権を一定の価格の対価を払ってでも取得しようとするものが現われ、不動産市場で取引されることにより、そこに借地権価格が発生し顕在化するようになったのです。
更にその地域の土地価格は土地を宅地利用することで変動し上昇していきます。土地は所有するだけでは地価上昇はない。どちらかと言えば、土地の借地人の方がその土地を最大の収益をあげられる土地利用をしておりその土地及び地域の地価上昇に貢献していることもある。
そこで借地人は地代を払いながら借地人の活動が地価上昇に貢献したと認められ、その貢献が社会的合意で形成され、借地に帰属するものとして借地権を売買する時に借地権に経済的価値としての借地権価格が発生したともいえる。
例
川崎市内の住宅地150㎡の土地
至近の地価公示価格 300,000円/㎡
総額 45,000,000円
(1)当該土地の経済価値の即応する適正な年額賃料
(地代)の査定
(45,000,000円×5%)+76,500円
= 2,326,500円
(2)1年間の借地人に帰属する経済的利益
2,326,500円ー300,000円
=2,026,500円
経済地代 現行支払地代 賃料差額
賃料差額の持続する期間を仮に40年とし、この賃料差額による経済的利益を年率5%で運用したとしての現在価値を求めると複利年金現価率 年利率 5.0% 40年の年金現価率は17.16である
2,026,500円×17.16 ≒34,800,00円 ・・・①
持続する期間を無限とすると
2,026,000円÷0.05≒ 40,500,000円
・・・②
以上のとおり借地人に帰属する経済的利益は上記のとおり
34,800,000円から40,000,000円と試算されたが不動産鑑定評価では上記の経済的利益を34,800,000円とした場合、全てが借地権価額になる訳ではないとしている。
要は借地人に帰属する経済的利益の現在価値の一部だけが借地権価額になるとしています。下記の地域の慣行借地権割合から求められた借地権価額27,000,000円に制限されます
借地権割合から求めった借地権価格
45,000,000×0.6=
27,000,000円 ・・③
更地価額 借地権割合 借地権価額
借地権価額の査定
上記試算価額を調整して借地権価額を27,000,000円
と査定した。
5、借地権価格の求め方
不動産鑑定評価では下記の手法で借地権価格を求めている。
(1)取引事例比較法
土地の取引事例比較法と同様に、借地権取引事例価格から調査対象不動産の借地権価格を求める 実際には借地権は契約の個別性が複雑であり、内容の把握が出来ないので比準は難しい難点がある。
(2)借地権残余法
更地の収益還元法と同様に、借地権付き貸家の年間家賃収入から必要経費を控除して土地・建物に帰属する純収益を求め、その純収益から建物に帰属する純収益を控除して得た借地権に帰属する純収益を資本還元して求めた収益価格を求める手法である。理論的ですが、実証性に欠ける欠点がある。
(3)賃料差額還元法
借地権の経済価値である借り得部分を資本還元して価格を求める手法である。借地権の個別性を反映させることが出来る手法で有用であるが、想定事項が含まれる難点もある。
(4)割合法
更地家格に借地権割合(相続税路線価割合、慣行借地権割合)を乗じて価格を求める手法である。
借地権割合が認識されているメリットはある、借地権は契約上の個別性が強い権利で有るので単純にこの借地権割合を乗じただけでは高い借地権価格になってしまう。更新料の授受、建物の建て替時期、等の個別的条件を考慮して割合を決定する必要がある。
http://www.tanabekatuyakantei.jp/
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