借地権と借地権価格 なぜ、借地権価格が発生するのか
2017/06/09
1、借地権と借地権価格との関係
川崎市の借地権に精通している不動産鑑定士が説明します
他人の土地を借りてそれも本来の経済地代に比べ安い地代で借りて居住あるいは事業を行っているだけで、何故に借地人に財産的な価値が生じ、都市部では、借地権価格として顕在化して取引されているのかを疑問視する方は多いのではないでしょうか。
借地権を評価する機会の多い不動産鑑定士がこの疑問を整理します。
借地権と借地権価格との関係
(都市部)
・借地権の取引慣行がある
借地権という権利を一定の対価で取引されている借地権と借地権価格とが一体セットになっている
(地方都市の一部地域)
借地権の取引慣行がない
借地権はあるが借地権価格が発生していない
「借地権があってもすべての地域に借地権価格があるとは言えない。」
2、なぜ、借地権価格が発生するのか
Qー1
都市部では何故、借地権取引が慣行化され、そのうえ借地権価格が所有権価格に対して相当な割合で形成されるのでしょうか。
A-1
その土地の価格に見合う経済地代に比べ現行実際支払地代が低いことからの差額分を借地人への借り得が発生しているとして捉える。
「例えば更地価額の60%相当の借地権価額を払ってもそれなりの権利利益がある事等から借地借家法の保護の基に借地人に発生している経済的利益を金額に換算したものが借地権価格」と定義づけられている。
土地を新規に貸す場合、地主は土地利用を制約されること、借地人が借地利用することによる利用権に相当する金額を権利金として受けとることを条件に賃貸することになる。
最初から土地を長期間占有し、独占的に使用収益し得る借地人の安定的経済的利益が発生し、これが借地権価格になる要因と示されている。
この場合は新規契約時に借地権相当分に見合う権利金としてとっていることで借地権価格の形成には納得できる。
・・・ 創設的借地権価格
Qー2
上記ような権利金的な一時金の授受がないのに、都市部では借地権価格が発生している、その理由はなぜなのか
A-2
契約当初に権利金等の一時金の授受はない。地価が上昇しても地代は必ずしも土地価格の高騰に順応して上昇はしていない。それは賃料(地代)の遅効性の為、地代の値上げが出来ず、支払地代は相対的に低い地代になっている。
これをいわゆる借地人に帰属する「借り得」として捉え、長期に亘って累積され借地権価格を形成する要因になっていると言われている ・・・ 自然発生的借地権価格
Qー3
「借り得」をもって借地権とする理由はなにか
A-3
経済地代に近い高い地代にすれば借地権価格は低く、逆に低い地代の方が借地権価格が低いとのことが理解しずらい。
それは、借地人が支払っている地代は権利の対価ではなく、地代を多く支払えば借地権の価格は高くなるというものではない。あくまでも「借り得」の存在が借地人の利益の源泉であり、借地借家法の保護の下で使用収益し続けることが出来ること自体が借地権価格の発生要因になっている。
反対の地主側にとってはこの「借り得」の考え方は理にかなっている。
地代を多く徴収できる土地(底地)の価格は高い。少ない地代しか徴収できない底地の価格は低い。
税法上でも、同族会社間での不動産売買の場合、Aの所有地をBに貸す場合、Bに借地権価格を発生させない方法として、権利金を授受はしないが、相当地代(土地価格の6%)を授受して「借り得」を発生させないか税務署に「無償返還届け」を提出しておくことがあります。
要は可能な限り地代は上げておくか、更新料を地代の不足分として徴取することが地主としては考えて実行することである。
借地権価格を上記の「借り得」で試算した借地権価格は絶対的なものではなく、その地域の借地権取引の慣行との調整をして最終的な借地権価格を決定することが大事である。
要は借地権慣行割合の中で借地権価格の割合は決まることになる。
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神奈川県の横浜市、川崎市の都市部の借地権・底地に精通した不動産鑑定士 不動産カウンセラー 田邉勝也が皆様のアドバイスをさせて頂きます。どうぞ、ご相談下さい。
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