借地の更新料・建替承諾料・立退料の問題 は不動産鑑定士が解決
2019/02/10
借地権、底地売買での一時金を知ってると得します。
(1) 更新料
1. 性質
- 不足地代の後払い的な一時金 今までの地代が安い分をこの一時金で補う為のもの
- 地代の前払い的な一時金 将来の時代の値上げが難しいので前払いでもらっておくという考え方
- 借地権消滅のリスクに対する安心料 更新料は地域によって地主と借地人との合意に基づいて支払われるもので判例でも地主の請求があれば当然、借地人に更新料を支払う義務を生じる旨の商慣習は存在しないとしている。
2. 更新料の額
- 契約期間が長い(更新料の授受の機会が少なくなる。
- 高度利用が可能な収益性の高い土地から得られる純収益のうちの借地人に帰属する部分が多くなる。
- 契約期間が短い
- 利用制限のあって収益性が低い土地の倍率は少なくなる。
3. 更新料査定の場合考慮すべき事項
- 賃貸借期間の長短
- 更新時における賃貸人の正当事由及び賃借人の必要性の程度
- 賃料の高低、標準的賃料との開差の程度
- 賃借人による必要費、有益費の支出の有無 並びに賃貸人の修繕、管理の程度
- 更新後の期間、その他の契約条件
- 当事者の主観的事情
(2) 増改築承諾料
1. 性質
- 地主の被る不利益の対価(増改築に伴い契約期間が延びることで更新料授受の時点が 遅れる)と借地人が受ける利益の範囲内で査定すべきである。
2. 額・・更地価価格の2~3%
- 防火地域の指定
- 付近の土地利用状況等の変化
(3) 借地条件変更承諾料
1. 性質
- 借地権消滅の可能性が弱まったことの対価
- 借地存続期間が延長された時、将来支払われたであろう更新料の対価
- 将来、建物買取請求権が行使された時、地主の負担がしていることの対価
- 増価した借地権価額に対する権利金の追加払い
2. 額
(4) 名義書替料
1. 性質
- 従来の賃料の補充
- 借地権の譲渡等による借地人の地主双方の被る可能性のある損失を回避する為、 慣行に支払われるものとして考えられる。
2. 額
非堅固建物 | 堅固建物 | |
住宅地 | 5~10% | 10%中心 |
商業地 | 8~10% | 8~10%中心 |
(5) 立退料
1. 性質
何故、立退料を支払わなければいけないのか。
契約期間満了時に当然に明け渡してもらえると考えていたのに何故、立退料を支払わなければいけないのか。
借地借家法第28条では、賃貸人が更新、拒絶したり、賃貸借の解約の申し入れをするには,「正当事由」がなければ出来ないと規定されています。
借地借家法の改正では正当事由の補強材料として立退料の支払いが明文化された。これにより、正当事由が以前より認められ易くなったと言えます。
立退料の相場はあるのか。
個別のケースによって額に差がある。住居として建物を利用している賃借人に対する立退料と店舗・事務所として利用している賃借人に対する立退料とでは立退料の内容の額に差異が生じます。立退料の金額については、客観的妥当性が必要です。
立退料の基本構成
住居系
- 引越し費用・・・単身で10万円程度、業者へのヒアリング
- 移転先の保証金の補填
同一条件の貸家を借りることが前提この場合、既に預かっている保証金は全額返ます。
例えば預かり保証金30万円、移転先保証金の補填分30万円であれば60万円を支払うことになります。
- 移転先の家賃差額の補填
同一条件の建物を借りるにしても家賃は高くなることが多いです。
差額の補填金額としては、6~24ケ月程度が必で借家人との交渉の中で決める。
- 移転先の仲介手数料
移転先建物の家賃相場の1ケ月程度
- その他経費
引越に伴う挨拶状や移転手続き費用 5万円~
店舗・事務所系
店舗・事務所として建物を借りている借家人に対しての立退料は上記の住宅系の「移転に伴う費用の補填」の外に下記の特別な費用が発生し住宅系より高額になります。
- 特別な費用
- 利益の喪失に対する補償
営業補償・・営業を他所へ移転することで被る損害に対する補償、借家人が営業を廃止する場合も営業補償が支払われます。
借家人が絶対に退去しないで話が決裂した場合はどうすればいいのか。
貸主は誠意をもってお願いするしかない。
それでも事態を打開できなければ弁護士に依頼して家屋明渡し調停を申し立ててもらうことになります。賃貸人、賃借人双方にとってこの一時金の絶対額は非常に大きいです。ですから安易な求め方ではなく、実態を調査し、納得でき、客観性がある金額で交渉しなければまとまりません。
その為には、その道のプロである不動産鑑定士を利用して下さい。ご相談は無料です。
----------------------------------------------------------------------
栄光神奈川鑑定
住所:
神奈川県川崎市川崎区渡田向町20-3
電話番号 :
044-589-5436
----------------------------------------------------------------------